「Windows 11が対応するCPUは、Intel第8世代以降・AMDはZen 2以降」
そう聞いて、「え?Ryzen 7 1700Xは動かないの?」「Ryzen 5 2400Gは対応してるの?」と疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Ryzen視点からWindows 11のCPU制限の裏側を紐解いていきます。
Windows 11の対応CPUリストとは?
MicrosoftはWindows 11の動作条件として、以下を明確に打ち出しました。
- Intel:第8世代(Coffee Lake)以降
- AMD:Ryzen 2000シリーズ以降(※一部例外あり)
- 必須機能:TPM 2.0 / Secure Boot / VBS など
なぜZen 1は切られた?ハード的セキュリティ要件の壁
Windows 11では以下のセキュリティ機能が前提となっています。Zen 1(Ryzen 1000番台)は下記の機能への対応が限定的だったため非対応とされました。
機能名 | 概要 |
---|---|
TPM 2.0 | 暗号鍵や証明書を安全に格納するハードウェアモジュール |
VBS | 仮想化ベースでメモリ空間を保護する技術 |
HVCI | カーネルコードの整合性検証を仮想層で行う |
Secure Boot | UEFIによる改ざん防止 |
- Ryzen 1000番台はTPM 2.0やVBSに非対応のため一律NG
- 2000番台APUはOEM向け最適化により一部例外対応
- Zen 2(3000番台)以降は正式対応で安心
- APUと通常CPUで対応状況が異なるため注意!
TPM構造の概念図(ハードウェアレイヤー)

- TPMは暗号鍵やセキュリティ機能を支える必須モジュール
- RyzenではfTPM(ファームウェア実装)が主流。BIOSで有効化が必要
- TPMが無効だとBitLockerやHVCIが使えず、Windows 11のセキュリティ要件を満たさない
- 古いチップセット(A320等)は物理TPMもfTPM設定もないことがあるので注意!
なぜRyzen 5 2400Gは対応しているの?
Ryzen 5 2400GはZenアーキテクチャ世代ですが、例外的に対応リストに含まれています。
- 2018年発売(比較的新しい)
- 一部OEM製品でWindows 11向けに最適化
- セキュリティ制御がZen+相当
型番 | 対応状況 | アーキテクチャ | 備考 |
---|---|---|---|
Ryzen 7 1700X | 非対応 | Zen 1 | TPMが不完全 |
Ryzen 5 2400G | 対応 | Zen 1 | APUで一部最適化 |
Ryzen 3 3200G | 非対応 | Zen+ | 非公式(OEM用途中心) |
Ryzen 5 3400G | 対応 | Zen+ | 一部環境で対応可能 |
Ryzen 5 3600 | 対応 | Zen 2 | 正式対応 |
セキュリティだけではない、ドライバモデルの刷新
Windows 11では「DCHドライバモデル」前提となっています。
古いRyzenチップセット(A320/B350など)はUSB・SATA・SMBus等がDCH非対応のケースがあり、安定動作に難があるとされました。
本音は「買い替え促進」?OEM市場とWindows戦略
旧Ryzenユーザーを切り捨てた背景には、PC買い替え需要の創出も関係していると見られます
MicrosoftはOEMベンダーと連携しており、Windows 11はハード刷新とセットで普及を進める設計とも言えるでしょう。
まとめ
Ryzenユーザーはどう判断すべきか?
- Ryzen 1000番台 → 非対応(セキュリティ・ドライバ的に不十分)
- Ryzen 2000(APU)→ 一部例外的に対応
- Ryzen 3000(Zen 2)以降 → 正式サポート
- TPMやUEFI Secure Bootの設定確認が重要