【徹底解説】AMD AM4ソケットの全貌とは?|歴史・構造・互換性を完全網羅

AMDのCPU

どうも、jisa郎です。

「Ryzen誕生期の象徴」として登場したAM4ソケットは、2017年の初代Ryzenから続く長寿命設計と高い互換性で、自作PC界における安心の土台となりました。

PGA方式を採用しつつ、当時としては先進的だったDDR4やPCIe 4.0に対応。長期サポート戦略により、世代をまたいで多様なCPUが同じマザーボードで動作可能という画期的な環境を提供しました。

4,133ピンのPGA(Pin Grid Array)方式を採用し、当初は第1世代Ryzen(Zenアーキテクチャ)からスタートし、最終的にはZen 3世代のRyzen 5000シリーズまで幅広くサポートしました。この互換性の広さは、CPUだけでなくチップセットやマザーボードの選択肢も豊富にし、ユーザーが段階的にアップグレードできる環境を提供。

DDR4メモリ対応、PCIe 3.0から始まり、後期ではPCIe 4.0にも対応するなど、世代を追うごとに機能が拡張されました。その結果、自作PC市場では「長く使えるプラットフォーム」として高い評価を獲得。この記事では、AM4の構造や特徴、対応CPU一覧、後継AM5との違いまで徹底的に解説します。

AM4とは?

AM4ソケットは2017年、初代Ryzen(Zenアーキテクチャ)とともに登場し、AMDデスクトップ向けプラットフォームの新時代を切り開きました。それまでのAM3+やFM2+といった複数のソケット体系を統合し、メインストリームからハイエンド、APUまでを単一のソケットでカバーする戦略を採用。

この統一化により、ユーザーはマザーボードの買い替え頻度を減らしつつ、CPUの世代アップグレードを容易に行えるようになりました。AM4は初期からDDR4メモリに対応し、PCI Express 3.0を標準搭載。

後期ではPCIe 4.0や高クロックメモリへの対応が進み、最新技術を段階的に取り込む長寿命設計が特徴です。結果として、Zen 1からZen 3まで約5世代にわたり現役で使われ、自作PC市場では「長く使えるプラットフォーム」として確固たる地位を築きました。

どういう構造か?

AM4は4,133本のピンを持つPGA(Pin Grid Array)方式を採用しており、CPU側のピンをマザーボードのソケット穴に挿し込む構造です。ソケットはロックレバーによって固定され、メンテナンスやCPU交換が比較的容易。

メモリスロットはデュアルチャネルDDR4をサポートし、初期は最大3200MHz程度、後期では5000MHzクラスまで対応しました。拡張スロットはPCIeレーンをCPUとチップセットで分担し、GPUやNVMe SSDの帯域を確保します。

また、SoC(System on Chip)設計により、従来チップセット側にあった一部機能(USB、SATAコントローラなど)をCPU側に統合し、配線の短縮とレイテンシ低減を実現。この構造設計は後のAM5にも引き継がれる基盤となりました。

前型との違い(「AM3+」および「FM2+」)

「AM3+」や「FM2+」の世代と比較して、AM4は互換性と拡張性の両面で大きく進化しました。まず、メモリ規格がDDR4へと刷新され、帯域幅と省電力性が向上。

PCIeも2.0から3.0(後に4.0)へ進化し、最新GPUや高速ストレージの性能を引き出せます。さらに、従来はメインストリームとAPUで別ソケットを採用していましたが、AM4では統一され、APUとハイエンドCPUのマザーボード互換が実現。

USB規格もUSB 3.1 Gen2対応へと進化し、転送速度が飛躍的に向上しました。加えて、チップセットとCPU間の通信帯域も改善され、高速NVMe SSDや複数GPU構成への対応力が向上。このように、AM4は単なる後継ではなく、世代間の断絶を埋める包括的な刷新となりました。

このソケットで設計しようとした理由

AM4ソケット採用の背景には、AMDの長期戦略と市場分析が色濃く反映されています。当時の自作PC市場は、Intelが2〜3世代ごとにソケットを変更し、そのたびにマザーボードも新調する必要がある状況でした。

AMDはこれを逆手に取り、「長寿命ソケット」によるユーザー定着を狙います。AM4は登場時から、DDR4メモリやPCIe 3.0といった当時の最新規格を押さえつつ、将来的なPCIe 4.0対応まで視野に入れた余裕ある配線設計を採用しました。

これにより、初期のZen 1から最終世代のZen 3まで、同じソケットでアップグレードが可能となります。さらに、APUとCPUを統合的に扱えるSoC設計を採用し、ローエンドからハイエンドまで幅広い製品展開を支える基盤を確立。

これにより、OEMメーカーやBTO業者にとっても在庫管理が容易になり、普及の加速に寄与しました。加えて、PGA方式の採用は自作ユーザーのメンテナンス性を確保しつつ、製造コストも抑制。

結果として、AM4は単なる技術的選択肢ではなく、ユーザー利便性・製造効率・市場競争力を同時に満たす「戦略的プラットフォーム」として設計されました。

まとめ

AM4ソケットは、AMDの「ユーザー目線」に基づく設計思想を体現した存在です。歴史的には、複数ソケット体系を統合し、長期互換性と最新規格対応を両立。構造面ではPGA方式によるメンテナンス性とSoC化による効率化を実現しました。

前世代との比較では、「DDR4」「PCIe 4.0」「USB 3.1」「Gen2」などの最新規格を段階的に取り込み、時代に合わせた進化を遂げています。そして、設計理由としては、ユーザーが段階的にアップグレードできる環境を整えることが最大の目的でした。

その結果、AM4は2017年から2022年にかけて長寿命プラットフォームとして確固たる地位を築き、後継AM5への橋渡し役を果たしました。今もなお、中古市場や廉価構成で現役運用されるなど、その設計思想の価値は衰えていません。

AM4からの移行を検討している方に向け、互換性・性能差を詳しく解説しています。