Ryzen5 5600Gの機能解説

AMDのCPU

どうも、jisaroです。
スペック表だけではわかりにくい「実際の使い勝手」や「ほかのCPUとの違い」など、初心者の方にもわかりやすく整理して解説していきます。

この記事では、Ryzen 5 5600Gの特徴・性能・対応マザーボード・用途別のおすすめポイントなどを、やさしい視点でまとめています。

概要

Ryzen 5 5600Gは、AMDが2021年にリリースしたZen 3世代のAPU(Accelerated Processing Unit)です。 APUとは、CPUとGPUが1つのパッケージ内に統合されたプロセッサのこと。Ryzen 5 5600Gでは6コア12スレッドのCPU性能に加えて、**Radeon Vega 7 iGPU(内蔵GPU)**が搭載されており、グラフィックボードがなくても動画視聴や軽めのゲームが快適に動作します。

このモデルは「Ryzen 5 5600」や「Ryzen 5 5600X」といった、dGPU前提のVermeer系CPUとは設計思想が異なり、GPUレス環境や省スペースPC・家族共用マシンなど、より実用的なニーズに応える位置付けで登場しました。発売当時はBTO需要や法人向けに強く訴求されていたが、現在は自作市場でも高コスパCPUとして定番のひとつです。

スペック表

項目内容
アーキテクチャZen 3(Cezanne)
コア / スレッド数6コア / 12スレッド
基本クロック3.9GHz
最大ブーストクロック4.4GHz
L3キャッシュ16MB(※Vermeer系より小容量)
iGPURadeon Vega 7(7CU)
TDP(熱設計電力)65W
ソケットAM4
対応メモリDDR4-3200(EXPO非対応)
OC対応×(マザーボード側制限あり)

L3キャッシュが小さい点は、ゲーミングにおけるfpsの伸びに影響しますが、その分、発熱・電力消費は控えめとなります。グラフィックボードなしで運用可能なAM4対応CPUの中で、バランスの取れたスペック構成です。

搭載されている機能

Zen 3マイクロアーキテクチャ(Cezanneベース)

Zen 3は、前世代のZen 2と比べてIPC(命令あたりの処理性能)が平均で19%向上しており、ゲームや日常的な処理の応答性も格段に高まりました。

ただしRyzen 5 5600Gでは、Cezanneベース(ノート向けアーキテクチャの流用)となっており、Vermeer系と比べてL3キャッシュは16MBに制限されています。この点がゲームミング性能に若干の影響を与えるため、「Ryzen 5 5600Gは仕事用寄りのZen3」といえます。

Radeon Vega 7(iGPU)

内蔵されているGPUは、7基のCU(Compute Unit)で構成されたRadeon Vega 7。 解像度を抑えれば、「マインクラフト」「Valorant」「League of Legends」といった軽量ゲームは快適に動作します。

・iGPU搭載により、グラボが品薄/高騰している時期でも安心して組めるのが魅力的。 ・HDMIやDisplayPortはマザーボード経由で出力されるため、iGPU目当ての場合は、映像出力端子付きのマザー(例:B550M PROシリーズなど)が必要です。

SMT(Simultaneous Multi-Threading)

6コアながら12スレッドに対応しており、マルチタスクや軽い動画編集・配信にも対応できる設計です。 iGPUを搭載しながらもスレッド性能を犠牲にしない点が、5600Gの高評価ポイントの一つです。

Precision Boost 2

負荷や温度に応じて、自動でクロックを上げてくれる制御機構。 OC非対応のモデルながらも、運用中に自動でパフォーマンスを引き上げるため、「設定不要で勝手に快適」という安心感があります。

OC(オーバークロック)は基本非対応

BIOSやチップセットによっては軽微な調整は可能ですが、Vermeer系と異なり本格的な手動OCには非対応です。このCPUは、安定運用を前提にした「堅実なパフォーマンスモデル」と考えるのがベストです。

競合CPUを例に性能の比較

Ryzen 5 5600Gは、6コア12スレッド+iGPUを搭載した実用性重視のAPUですが、価格帯や用途が重なる競合モデルも多数存在します。

CPUコア / スレッドiGPU性能ゲーム性能(dGPU使用時)備考
Ryzen 5 5600G6C / 12TVega 7(中)中〜やや高iGPU付きで万能型APU
Ryzen 5 56006C / 12TなしVermeer。dGPU必須
Core i3-121004C / 8TUHD 730(低)価格は安めだがコア数が少ない
Ryzen 7 5700G8C / 16TVega 8(高)上位互換のAPUモデル

グラボを使わない前提なら、5600Gはこの中でバランスが最も良いCPUとなります。dGPU運用が前提なら、5600(無印)の方がキャッシュ量の多さでゲームfpsが伸びやすい傾向があります。

競合CPUを例に消費電力・価格の比較

Ryzen5 5600Gは、TDP 65Wという扱いやすい設計で、低発熱・低消費電力が特徴です。

CPUTDP実消費電力(負荷時)実売価格
(2025年7月)
Ryzen 5 5600G65W約60〜70W約13,000〜14,000円
Ryzen 5 560065W約65〜75W約14,000〜15,000円
Ryzen 7 5700G65W約70〜85W約18,000〜20,000円
Core i3-1210060W約55〜65W約12,000〜13,000円

内蔵GPUの有無を考慮すると、5600Gは「CPU+簡易GPUの価格」として非常に優秀です。空冷で静音運用できる点も、組みやすさのポイント。

発覚している相性の問題

5600GはAM4世代のCPUとしては比較的安定していますが、以下のような注意点があります。導入の際は、BIOSを最新版にして、QVLに掲載されたメモリを使用するのが安定のコツです。

  • B450やA520マザーボードではBIOS更新が必要なケースあり
  • 非QVLメモリ(特に3600MHz以上)で起動エラーやクロックが下がる場合あり
  • iGPU利用時、一部のHDMI出力が映像非出力となる報告(→BIOS設定確認で対応)

構成イメージ

本構成で約5〜6万円前後のコスパPCが実現可能。

パーツ名パーツの概要
CPURyzen 5 5600G
CPUクーラー純正リテールでOK
マザーボードB550 / A520
(HDMI/DP出力あり・BIOS更新済)
メモリDDR4-3200〜3600 16GB
(QVL対応が望ましい)
ストレージNVMe SSD 500GB〜1TB

総まとめ

Ryzen 5 5600Gは、「グラボなしでどこまでできるのか?」という問いに対して、見事にバランスを取った1台です。

ゲーム性能はVega 7により軽量〜中程度のタイトルをカバーしており、OCや高fpsを求める上級者向けではないが、実用重視・コスパ重視のユーザーには強くおすすめできます。静音・省電力かつ安価なAM4プラットフォーム構築が可能となります。