Ryzen7 3700Xの性能解説

AMDのCPU

どうも、jisaroです。
Ryzen7 3700Xの概要から性能まで、詳しく解説していきます。

概要

Ryzen 7 3700Xは、AMDが2019年にリリースした第3世代Ryzenシリーズのミドルハイモデルです。Zen 2アーキテクチャを採用し、当時としては最先端の7nmプロセス技術で製造されました。

この世代から、AMDはIPC(1クロックあたりの処理性能)を大幅に向上させ、Intelに対してシングル性能でも肉薄。多コア・多スレッド性能では明確にリードすることで、自作ユーザーやゲーマーに大きな衝撃を与えました。

Ryzen 7 3700Xは、その中でもTDP 65Wという低発熱・省電力設計でありながら、8コア16スレッドという高性能を実現した、まさに「バランスの鬼」とも呼べる製品です。

スペック表

注目点は「65Wで8コア16スレッド」かつ「PCIe 4.0対応」。冷却と電力の両面で扱いやすく、システム全体の省エネ性も優れています。

項目内容
アーキテクチャZen 2(7nm)
コア/スレッド数8コア16スレッド
ベースクロック3.6 GHz
ブーストクロック最大4.4 GHz
L3キャッシュ32MB
TDP65W
ソケットAM4
対応メモリDDR4-3200
PCIeバージョンPCIe 4.0

搭載されている機能

SMT(Simultaneous Multi-Threading)

1コアあたり2スレッドを同時処理できるため、マルチタスクや並列処理が得意。動画編集・配信・ゲーム録画などに強みを持ちます。

Precision Boost 2 / XFR 2

動作状況に応じて自動的にクロックを最適化し、冷却能力に応じて高性能を維持。オーバークロックを行わずとも高いポテンシャルを発揮します。

PCIe 4.0対応

Ryzen 3000シリーズから正式にPCI Express 4.0に対応。高速SSDやGPUのパフォーマンスを最大限に引き出せます(対応マザーボードが必要)。

チップレット設計

複数のダイを1つのパッケージに統合することで、歩留まりの改善とコスト削減を実現。将来的な多コア化への布石にもなっています。

チップレット設計とは
従来のCPUは1枚の大きなシリコンチップで構成されていましたが、チップレット設計では「CPUコア部分(CCD)」と「I/O制御部分(IOD)」を分離し、複数の小さなチップを組み合わせて構成します。これにより、製造コストの低減や、異なるプロセス技術の併用が可能になります。イメージとしては、1枚の大きな基板に複数のモジュールを効率的に配置した“集合住宅型”の構造と考えるとわかりやすいです。

競合CPUを例に性能の比較

CPUコア/スレッドブーストクロックCinebench R20(マルチ)ゲーム性能(平均fps)備考
Ryzen 7 3700X8/164.4GHz約4800pts約140fps(1080p中設定)バランス型
Ryzen 5 5600X6/124.6GHz約4350pts約145fpsゲーム特化・シングル強め
Core i7-9700K8/84.9GHz約3700pts約135fpsスレッド数が少ない

Ryzen 7 3700Xはゲーミングとクリエイティブを両立したい層に理想的なポジションです。シングル性能だけを見ると5600Xが優位ですが、配信やマルチタスクでは3700Xが安定して高パフォーマンスを発揮します。

競合CPUを例に消費電力・価格の比較

CPUTDP最大消費電力実売価格(中古)備考
Ryzen 7 3700X65W約90W約18,000〜22,000円高冷却不要
Ryzen 5 5600X65W約80W約15,000〜18,000円ゲーム重視派向け
Core i7-9700K95W約125W約12,000〜15,000円OC前提設計

Ryzen 7 3700Xは、8コアCPUの中では消費電力が非常に低く、冷却のハードルも低め。省エネ志向のユーザーにも安心しておすすめできます。
※ベンチマーク・消費電力は構成や冷却環境により前後します。安定動作を重視したチューニングをおすすめします。

発覚している相性の問題

  • 古いマザーボードでのBIOS更新必須
    → B350 / X370などの初期AM4マザーでは、BIOSのバージョンによって認識しない場合があります。最新化が前提。
  • メモリとの相性問題
    → DDR4-3600以上の高クロックメモリを使用する際、一部製品でXMPプロファイルが正しく動作しない事例あり。安定性重視ならDDR4-3200前後が安全圏。
  • 温度センサー挙動がやや過敏
    → 一部ユーティリティでアイドル時の温度が跳ねるように表示されるケースが報告。実動作への影響は軽微。

どんな人におすすめか

  • ゲーム+配信・録画を同時にこなしたいストリーマー
    → 8コア16スレッドで、OBSなどの配信ツールとの並行動作に強いです。
  • Adobe系ソフトを使うクリエイター・動画編集者
    → Premiere ProやAfter Effectsでのレンダリングも快適。
  • ゲーミングPCをバランス良く構築したいユーザー
    → ゲームだけでなく、今後の用途拡張を見据えて選ぶには最適。
  • 高性能なPCが欲しいけど電気代や騒音が気になる人
    → 65W TDPのおかげで空冷クーラーでも十分冷却可能。

総まとめ

Ryzen 7 3700Xは、「性能・価格・消費電力の黄金バランス」を体現した傑作CPUです。現行世代と比べて価格が落ち着いてきた今、中古でハイスペックPCを構築したい人にとっては非常に魅力的な選択肢です。

シングル性能だけでなく、配信・編集・マルチタスク全般を視野に入れるユーザーにとって、今でも第一線で活躍できるパーツと言えるでしょう。