Ryzenのスペック表でよく見かける「8コア16スレッド」などの表記。この“スレッド”を2倍に増やす技術が、SMT(Simultaneous Multithreading)=同時マルチスレッディングです。
この記事では、SMTの仕組みや効果、オン/オフの違い、どんな場面で活きるかをやさしく解説します。
SMTとは何か?
SMTは、1つの物理コアで2つのスレッド(処理単位)を同時に処理する技術です。Intelでは「Hyper-Threading」と呼ばれる同様の技術が使われています。
これにより、Ryzenは例えば「8コア→16スレッド」「12コア→24スレッド」といったように、見かけ上のスレッド数が倍増し、マルチタスク処理が強化されます。
SMTの効果とベンチマーク
【参考スコア】
使用したベンチマークソフト:Cinebench R23
使用したCPU:Ryzen 5 5600X
SMT設定 | マルチスレッドスコア | シングルスレッドスコア | 備考 |
---|---|---|---|
有効(デフォルト) | 約11,000 | 約1,540 | 標準構成 |
無効 | 約6,500 | 約1,540 | スレッド数半減によるスコア低下 |
SMTのオン/オフ設定方法
- BIOSに入る
- 「Advanced」>「CPU Configuration」などへ進む
- 「SMT Mode」または「Simultaneous Multithreading」項目を探す
- Enable(有効)/Disable(無効)を選択
メリットと注意点
メリット
- スレッド数が2倍になることでマルチタスク・同時処理が高速化
- 仮想マシン、動画エンコード、3DCG制作などに効果大
デメリット・注意点
- 一部のゲームや古いアプリでは無効の方が安定することもある(稀)
- 高負荷時に熱がやや増える傾向あり
まとめ
SMTは、Ryzenのマルチタスク性能を大きく引き上げる基本技術のひとつです。
特にコンテンツ制作や複数アプリを同時に扱うような作業をする人にとっては、SMTによるスレッド倍増は大きなアドバンテージになります。
基本的には常時ONがおすすめですが、用途に応じて柔軟に設定を変えるのもひとつの手です。