どうも、ジサ郎です。
Smart Access Memory(スマートアクセスメモリ/SAM)は、AMDがRyzen CPUとRadeon GPUの組み合わせで提供する帯域効率を最大化するパフォーマンス向上機能です。
この記事では、SAMの仕組み、効果、対応条件、設定方法、実ベンチマーク、注意点までを丁寧に解説します。
Smart Access Memory(SAM)とは?
SAMは、Ryzen CPUがRadeon GPUのVRAMにフルアクセス(フルアドレス)できるようにすることで、データ転送の効率を改善する機能です。
従来は、GPUメモリ空間の一部(通常は256MB単位)しかCPUから直接アクセスできませんでしたが、SAMではGPUメモリ全体にアクセス可能となることで、処理ボトルネックを回避できます。
この機能は、PCI ExpressのResizable BAR(Base Address Register)のAMDブランド実装版です。
SAMの仕組み(Resizable BAR)
仕組みのイメージ

項目 | 従来のアクセス | SAM (Resizable BAR有効時) |
---|---|---|
CPU→GPU VRAM認識範囲 | 制限あり(256MB単位) | 制限解除(全VRAMを認識) |
帯域活用効率 | 低い(頻繁な読み出し) | 高い(連続データ転送可能) |
SAMの対応条件(CPU・GPU・マザーボード)
対応要素 | 条件 |
---|---|
CPU | Ryzen 3000シリーズ以降(APU除く) |
GPU | Radeon RX 6000番台以降 |
マザーボード | AMD 500シリーズ以降(B550/X570など) |
BIOS設定 | Resizable BAR/Above 4G Decodingを有効にする必要あり |
OS | Windows 10 64bit以降 |
SAMの設定方法(BIOS手順)
- BIOSに入る(Deleteキーを起動時に連打)
- 「Advanced」→「PCI Subsystem Settings」へ
- 以下2項目を有効にする:
- 「Above 4G Decoding」 → Enabled
- 「Resizable BAR Support」または「Smart Access Memory」 → Enabled
- 保存して再起動
※ BIOS表記はマザーボードメーカーによって異なる場合があります(ASUSでは「Re-Size BAR」、MSIでは「SAM」表記など)
SAMのベンチマーク効果(実測値)
検証構成例:
Ryzen 7 5800X + Radeon RX 6800 XT + B550 + DDR4-3600
ゲームタイトル | SAM無効時fps | SAM有効時fps | 向上率 |
---|---|---|---|
Assassin’s Creed Valhalla | 101fps | 110fps | 約9%向上 |
Red Dead Redemption 2 | 78fps | 86fps | 約10%向上 |
Borderlands 3 | 124fps | 132fps | 約6%向上 |
Watch Dogs: Legion | 83fps | 89fps | 約7%向上 |
SAMのメリット・デメリット
メリット
- GPUメモリの帯域を最大限活用できる(読み出し・転送効率UP)
- 一部ゲームで最大10%以上のfps向上が期待できる
- 無料・ソフト不要でBIOSから簡単に設定可能
デメリット・注意点
- 効果はゲームタイトルごとに異なる(非対応・無効果のソフトも)
- 古いマザーボードやBIOSでは設定項目が表示されない場合がある
- Resizable BARに非対応のGPUでは機能自体使えない
- ノートPCなど一部構成では、BIOS側で項目が無効化されている場合がある(特にOEM製品)
- NVIDIA GPUやIntel CPUとの組み合わせでは「SAM」という名称では利用不可(Resizable BARとして利用)
まとめ
Smart Access Memory(SAM)は、Ryzen × RadeonというAMD純正構成のメリットを最大限に活かせる機能です。ゲームのフレームレートを1〜2割でも伸ばしたいゲーマーや、GPU帯域をフル活用したいユーザーには特におすすめです。
設定自体もBIOSから数分で済むうえ、対応環境さえ整えばリスクなく無料で性能向上が得られるので、AMD構成のユーザーはぜひ一度試してみてください。