Ryzen第2世代(Zen+)のリリースとともに登場した「X470」は、かつてAMDプラットフォームの中心を担ったチップセットです。
現在では、後継のX570やB550に注目が集まっていますが、X470にも依然として多くの魅力があります。この記事では、X470の歴史・特徴・他チップセットとの違い・選び方の注意点などをわかりやすく解説します。
X470とは?
X470は、2018年に第2世代Ryzen(Zen+)の登場と同時にリリースされたAM4ソケット対応の上位チップセットです。前世代のX370に比べて電力管理やメモリ対応が改善され、安定性や互換性が大きく向上しました。
X470の多くは「AGESA 1.0.0.6以降」のBIOSアップデートにより、Ryzen 5000にも部分的に対応しています(メーカー・製品による)。
- Ryzen 2000(Zen+)~3000(Zen 2)に対応
- 後期BIOS更新によりRyzen 5000にも対応可能なモデルあり
- B450とともにAM4プラットフォームの普及を支えた
X470のスペックと主な特徴
X470と他チップセットの構造的違い(イメージ)

項目 | 内容 |
---|---|
対応ソケット | AM4 |
対応CPU | Ryzen 2000/3000/一部5000シリーズ |
PCIe世代 | PCIe 3.0(チップセット・CPUともに) |
M.2スロット | 最大2基(Gen3) |
メモリ対応 | DDR4メモリ(OC対応) |
オーバークロック | CPU/メモリともに対応 |
USBポート | USB 3.1 Gen2/USB 2.0など最大14基 |
チップ構成 | 単チップ構成(Promontory 12) |
特徴 | 安定性が高く、価格と性能のバランスに優れる |
※ 当時の上位モデルではVRMの強化や、デュアルBIOS・POSTコードなど、上級者向けの機能が搭載されている製品も多くありました。
他チップセットとの比較
チップセット | ソケット | PCIe対応 | M.2スロット | OC耐性 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
X570 | AM4 | PCIe 4.0(CPU・チップセット) | 最大4基 | 高い | Gen4 SSD/最新GPU対応 |
X470 | AM4 | PCIe 3.0 | 最大2基 | 中~高 | 安定性・OC性能良好/BIOS更新で5000対応可 |
B450 | AM4 | PCIe 3.0 | 最大1~2基 | 中 | コスパ重視/構成簡素 |
B350 | AM4 | PCIe 3.0 | 最大1基 | 中 | 初期AM4モデル/対応範囲は限定的 |
マザーボードの選び方と注意点
1.Ryzen 5000対応状況を必ず確認
- すべてのX470がRyzen 5000に対応しているわけではない
- BIOSバージョンと対応リストを公式サイトで事前に確認
2.M.2やUSBの数は製品差が大きい
- 高機能モデルはポート多数/低価格モデルは簡素
3.ファンやVRM設計に注意
- 安定性重視ならヒートシンクが大型な製品がおすすめ
どんな人におすすめか?
タイプ | 理由 |
---|---|
Ryzen 3000世代で構成したい人 | PCIe 3.0でも十分/安定性が高く扱いやすい |
Ryzen 5000へ安価に移行したい人 | 対応マザボを使えばBIOS更新で新世代CPUに対応できる |
中古パーツでの高コスパ構成を狙う人 | 市場にX470搭載マザボが多く、中古でも入手しやすい |
OCやLEDなどの機能も楽しみたい人 | 上位モデルでは装備が豊富/カスタマイズ性が高い |
まとめ
X470は、PCIe 3.0世代ながらも高い安定性・互換性を持ち、Ryzen 2000~5000世代までを柔軟にカバーできる優秀なチップセットです。
最新規格を必要としない構成では、依然として選択肢として現役で、コストを抑えつつ堅実な構成を組みたい人には非常におすすめです。
今後も中古市場や予備機構築などで活用され続ける、AM4時代の完成度の高い土台と言えるでしょう。